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2016年11月22日、午前6時頃、東北地方で最大震度5弱の地震がありました。地震直後に発令された津波警報を受け、太平洋沿岸部の各地で避難勧告が出され、列島に緊張が走りました。仙台では最大1.4メートルの津波が観測され、2011年の東日本大震災以降、最も大きな津波を観測しました。今回の地震は2011年の余震だそうです。月日か経過していてもこんなに大きな余震がくるんですね。「今後も大きな余震に警戒が必要」と報道で注意喚起していました。

そこでいつやってくるかわからない大地震に備えて「津波の特徴」「身を守る避難行動のポイント」を再確認しておきたいと思います。

なお、まとめた内容はかつて私が携わった報道番組制作の現場において防災にかかわる専門家から聞いた内容です。専門家によって考え方が違う部分もありますし、自然災害は被災状況によって、特別な判断が必要なこともあり、すべてが絶対というわけではないことをご承知下さい。

津波の特徴

津波の速度は海の深さに比例して早くなる

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津波は5000mの深海ではジェット機並みの速度で進み、海が浅くなるにつれて速度は遅くなります。沿岸近くでは自動車が走行するくらいのスピードまで減速し、陸に這い上がってきた時は人が全速力で走るスピードになるといわれています。したがって津波から身を守るためには一刻も早い避難が必要です。

津波の高さは予測を上回ることがある

津波は水深が浅くなるにつれて高くなり、海岸の形状・海底の地形によって変わってきます。「60センチ」と予測されていてもリアス式海岸に多いV字型の港湾などではうねりが大きくなることがあります。ちなみに「30センチ」程度の津波でも小さな子供さんなら足をすくわれ波にさらわれることがあるそうです。「60センチ」なら大人でも危険です。「メートル級」の津波になると、船が転覆したり、自動車も流されてしまうことがあります。

津波は2波、3波と襲ってくる

津波は第1波のあと、2波、3波と何度も繰り返し、襲ってくるケースがあります。また、必ずしも第1波が最大級の津波であるとは限りません。第1波が来て何事もなかったからと安心して避難場所を離れたり、自宅に引き返してはいけません。「津波警報・避難勧告」が解除されるまでは絶対に海に近づかないようにしましょう。

津波予測を過信しない

東日本大震災の時も発表された予測より大きな津波に襲われた地域もあり「予測の規模」を鵜呑みにせず、「この程度なら大丈夫だろう」という過信は禁物です。予測より規模が小さかったら「わざわざ避難する必要がなかった」と後悔するのではなく「予測より規模が小さくて良かった」と胸をなで下ろす気持ちの持ち様が大切です。

津波から身を守る「避難行動のポイント」

津波から身を守るには避難する以外に方法はありません。助かるか、助からないか。それは1分1秒を争います。そこで、いざというときに知っておきたい「避難行動のポイント」を以下にまとめてみました。

ポイント1)避難は「遠く」よりも「高いところ」へ

時間的に余裕があるなら遠くの「高台」に避難するのが理想ですが、もし近くまで浸水がきている場合などは一刻を争います。その場合は「遠く」よりも「高いところ」が優先です。メートル級の津波になると自宅の2階などでは危険です。数メートルの津波ですと家ごと押し流してしまうエネルギーをもっています。

日頃から津波が来たときのことを想定し、いざというときに慌てないためにも逃げ込むのにふさわしい近所の頑丈なビルを事前に決めておきましょう。津波がきたらそのビルに素早く逃げ込んで、出来るだけ高い階に避難しましょう。

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ポイント2)避難に車は使わない

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2016年11月22日午前7時 いわき市・小名浜地区

避難手段は徒歩が原則です。避難に車を使用するのはやめましょう。津波から身を守る場所は遠いところではなく高い場所です。車だと周囲の状況も見えにくく、小回りも利きません。東日本大震災の例では、車で避難した人が道路にあふれかって渋滞が発生し、そのために逃げ遅れて津波にのみ込まれた方がたくさんいます。

ただ、健康上の理由で身動きが不自由な人・複数の幼児や高齢者を引率している場合など、避難所まで移動するのにどうしても車が必要なケースもあり、車で移動したからこそ、逃げ延びることが出来たという事例もあります。でも、それはあくまでも例外です。通常は「原則として避難は徒歩」ということを肝に銘じておきましょう。 

ポイント3)やむなく車で避難したときのお約束

やむなく車で移動する場合は心がけておくべきお約束が2つあります。

1つは移動中に津波に追いつかれて車内に浸水してきたら勇気を持ってすぐにドアを開けて逃げる方が賢明です。水かさが1メートルを超えると水圧でドアの開閉ができなくなり、最悪の場合、車に閉じ込められたまま流されて命を落とす危険が高まります。

2つ目は車を放置する際、可能な限り通行車両の妨げにならないスペースに駐車し、ドアロックはせず、キーは差したままにしておくか、運転席に置いおくということです。放置された車が緊急車両などの邪魔になり、救援者の救助の妨げになることが考えられるからです。

どうしても車移動を余儀なくされる方は必ずこの2つのお約束を覚えておきましょう。

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ポイント4)地震の揺れと津波の規模は別物

地震の揺れが小さくても大きな津波が襲ってくるケースがあります。地震は地殻の断層のズレによって起こります。横ズレなら比較的、津波の規模は小さいのですが、縦ズレの場合は津波の規模が大きくなる傾向にあります。沿岸で震度3程度だったにもかかわらず、大津波が押し寄せて甚大な被害を受けた過去の記録もあります。

津波の影響を受けやすい海岸エリアの地域ではたとえ小さい揺れでも「津波がくる。大きいかも知れない」と想定し、まずは津波から身を守る避難行動を最優先すべきです。

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ポイント5)釣りなどで海岸近くにいたときの対応

常日頃から津波に対する警戒心をお持ちの港湾関係者や漁業関係者とは違い、沿岸に遊びに来ている釣り人などは津波に対する経験も警戒心も希薄です。大きな揺れを感じる地震がきたら、避難指示を待つことなく、直ちに安全な高台を目指しましょう。近くに高台がない場合は、身近な高い建物を目指し、上階に上がりましょう。最優先は「命を守ること」です。それ意外のことは考えてはいけません。釣具や荷物はほったらかしにしてとにかく逃げて下さい。

また、津波は繰り返し襲ってきます。第一波がきたからといって安心して置いてきた釣具や荷物を取りに海岸近くに戻ってはいけません。津波警報や避難勧告・指示が解除されるまでは絶対に避難場所を離れず、海に近づかないで下さい。

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ポイント6)川のそばいたときの対応

津波は沖合いからやってきて防波堤や岩壁にぶつかり、逃げ場を探すように河口から川の上流に向かってさかのぼります。時間帯によって河川敷には釣り人・ジョギンガー・お子様連れの家族がいるかもしれません。

pn2016112201001562-ci0002もし、河川敷界隈にいて大きな揺れを感じたら津波が川を逆流してくることを想定して、川の流れに対して横方向(直角)に避難するのが鉄則です。なぜなら河口から上流に向かって避難しても逃げる方向に津波が追いかけてくるからです。写真は今回、津波が襲来した宮城県沿岸部の河川の様子を宮城県警が撮影したものです。

1メートルにも満たない津波でも川を遡ってくるエネルギーをもっているのですね。波で危険なのは沿岸だけではなく、河口付近一帯も危険エリアであることを認識しておきましょう。

まとめ

いろいろポイントを整理してみましたが、当然ながら避難行動はケースバイケースです。状況に応じた最善の方法を選択する必要があることは言うまでもありません。

ただ、確実に言えることは避難は一刻を争うということ。そして、そのためにはまず、落ち着いて行動することが大切です。また、まわりに小さなお子さん、身体の不自由な人、高齢者がいる場合は、出来る限り、協力の手を差し伸べて安全に避難できるように力を貸してあげましょう。

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